傷口にユーゲル

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「誰が賢者を殺したか?」9話感想

放火ユーチューバー死亡確認。

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・「爆心地(グランドゼロ)はベッドだ」

初っ端から衝撃である。バナーは爆弾を抱かされた状態で爆殺されたということだろうか。
いくら精神の平衡を失っていたからといって、おとなしく爆弾の設置を見守っていたというのは考えづらいので、刑務官と同じく、普通に刺殺されたのだろうとは思う。その後で、犯人はゆっくり爆弾を爆発させたのだろう。
ところで、たかがプラスチック爆弾の爆心地に「グラウンドゼロ」という言葉を使うのは、藤村刑事も無神経ではないだろうか。



・「不幸中の幸いですよ。あと十分早かったら我々もただじゃ済まなかった」

マルコさん冷静すぎないか。もうちょっとで死んでたんだけど。
爆弾起爆のタイミングについては話題にされていないが、刑務官を殺して爆弾を仕掛けてメッセージを残して……とやっていては、それほど余裕はないはずである。いつ誰が定期的に部屋に入ってくるかは事前に調査していたのだろうが、FBI側の動きも見通されていたと考えたほうが自然だ。そうやってちょうど空隙の時間を狙って犯行に及んだのだろう。その場合はやはり、なぜ一緒にFBIを殺してしまわなかったのかが謎になる。



・ロッカーに隠された刑務官の遺体。

なぜバナーと一緒に爆発で粉々にしてしまわなかったのか。
8話での刑務官の立ち位置的に、背後から襲いかかることは不可能である。正面から切りかかり、普通に殺したようだ。溝呂木くんのように、なんらかの電子的妨害を行った可能性もある。
傷の位置的に、犯人は右利きっぽい。しかし頸動脈を切られて失血死ということは、相当の返り血を浴びた可能性があるが、そこらへんは視覚ハッキングでごまかしたのだろうか。
部屋の外で殺したなら、壁や床に相当の血痕が残るはずだが、ロッカーを開けるまで誰も遺体に気づかなかったので、そういった痕跡はなかったようだ。



・カウンセリング担当のドクター

なんか隠してるでしょこれは。



・「血のにおいがする」

ノエルの嗅覚はすごいらしい。
しかし溝呂木くんが死んだときはまったく気づいていなかった。



・警察のダイナミックジグソーパズル

破片を集めて元の形にあっさり復元してしまう警察の優秀さ。どれくらい時間がかかったのかは描写がないが、ご苦労様と言うしかない。



・「死人に口なし」の血文字

ストレートに考えると、刑務官の血を使ってメッセージを書き、それをわざわざふき取り、爆発を起こしたということになってしまう。ノエルがいなければ見つかったかどうかもわからないメッセージのためにそんなことをするのだろうか。というか、メッセージを見せたいならふき取る意味がない。捜査員を挑発するという目的だとしても、血文字を書いた瓦礫を探させるというだけで十分だ。
そう考えると、メッセージを書いた人間と血をふき取った人間が別人だという可能性も出てくる。「死人に口なしだ!」という中身のないメッセージをわざわざ消す意味がわからないが、自分で書いたメッセージを自分でふき取るという頭のおかしい行動よりは理解できる。
メッセージが暗号になっているという可能性もあるが、考えすぎだろうか。『DEAD MAN TELL NO TALES』ではなく、『DEAD MAN TELLS NO TALES』が正しそうなのだが、そこに何かあるのかもしれない。



・「これをやった犯人は頭がおかしいべ」

まったくその通りと言うしかない。
刑務官を殺していつ誰が部屋に入ってくるかわからない状況で、のんびり壁に文字を書いているというのは完全にサイコである。



・まとめ

「掛け値なくたったひとつだけ残された最後の手がかり」があっさり死に、進退窮まった。
現状を整理すると、

被害者:"賢者"ダーゲンハイム、"盗賊"ゾロ
捜査員:ノエル、FBI、日本警察
容疑者:地球上のほとんど全ての人間
手がかり:なし

という、迷宮入り待ったなしの状況である。

そもそもバナーの口を封じるだけなら刑務官のように刺し殺して終わりでも構わないはずだが、死体を爆破したのは、やはり遺留データを捜索されることを防ぐためだろうか。そうなると、溝呂木くんのデータに一切触れられていないのがおかしいという話に戻ってしまうのだが。


また、仮にも警察病院に監視カメラがないとは思えないので、録画はしていたが犯人に映像を書き換えられていたとか、そういうことだろう。そのへん一言言及しておいてほしい。


さて、現時点ではどうにも推理しようがないが、一応仮説を立てみる。

やはり怪しいのは今回出てきたドクターなので、彼女が『継ぐ者』の一派であると考える。
バナーの様子的に、カウンセリングのたびに病室へ入っていただろうから、この時少しずつ爆弾を持ち込み、ベッドの隙間にでも隠しておく。

この時点では二人は仲間同士という認識であり、ドクターもバナーを殺す予定はなかった。
頃合いを見て爆弾を爆発させ、混乱に乗じてバナーを逃走させる計画だった。

しかし、バナーは溝呂木くんに情報を漏らし、それを察知したドクターは二人を殺すことにする。

当日、見張りをしていた刑務官はドクターに懐柔されており、爆弾の起爆装置を病室に持ち込んだ。ナイフでバナーの戒めを切り、プラスチック爆弾に信管を詰めた。

この時点でバナーを殺さなかったのは、自分の管轄区域で死人を出したくなったためで、まずは計画通りバナーを逃し、改めて別の場所で始末するつもりだった。

しかし、バナーは刑務官を刺し殺してしまった。頭がおかしく血に飢えていたバナーは、誰でもいいから殺さずにはいられなかったのだ。
部屋の外に血痕がなかったのはこのためだ。

バナーは刑務官の血を使って壁にメッセージを残し、自分が死んだことにして逃げることを思いついた。

だが、メッセージが完成したあと、不審に思ったドクターに部屋の惨状を発見される。
バナーからすれば、自分を追わせなくするための冴えた考えだったが、ドクターからすれば、安易に手がかりを残す浅はかな行為だった。筆跡から、バナー本人が書いたものだと見破られる可能性もある。

ドクターはこの場でバナーを殺すことを決め、殺害する。溝呂木くんの視界ハックのような能力があれば、女性の力でも問題なく殺すことができる。

ドクターは刑務官の遺体をロッカーに詰めた。遺体を残したのは、正面から刃物で殺されたということを明確にし、女性の自分に疑いが向きにくくするためだ。

壁のメッセージをふき取り、念のためにその壁にも爆弾を配置して、遠隔からバナーの遺体を爆破した。

この場合、わざわざ爆発を起こしたことに、遺留データ消去とは別の意味が生まれる。
バナーの手は、メッセージを書いた時に刑務官の血で汚れているはずだからだ。返り血も浴びていたかもしれない。

だから、遺体を粉々にすることで、その状態を隠すことにしたのだった。

以上がことの顛末である。


なお、当ブログではマルコさん犯人説を取っているので、FBIを爆発に巻き込まなかったのも、マルコさんがドクターの仲間だったからだと考えている。



今週の1コマ
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