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傷口にユーゲル

主にアニメとか漫画とか仕事のこと

「魔法少女育成計画」12話感想

前回
eno000.hatenablog.com



・アバン

1話をリフレインするかのような小雪の回想。
最終話となった今になってみると、あの頃は平和だったなぁ的な感慨に浸ってしまう。

「私は魔法少女じゃなくていい。ただの人殺しで構わない。あなたに憧れていた。スノーホワイト」というリップルの台詞と、「いいえ。この街に魔法少女はまだいます」というアリスの台詞。
残されたスノーホワイトにとっては、ある意味で呪いのような重さを放っている。

正しい行いをしていた結果、心が折れそうになっているのに、まだ正しくあり続けてほしいと望まれたら、どうすればいいのだろう。

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小雪のキャラ的にあんまり読まなそうな雑誌が散らばっているが、さりげなくセーラームーンみたいな表紙が混じっている



・ファヴからの『魔法少女育成計画』についての説明

本来の魔法少女選抜がどんなものだったのか、なぜ劇中の試験が歪められていたのかという説明。
ファヴもクラムベリーという後ろ盾を失ってしまっているため、スノーホワイトに代わりにマスターになってほしいようだ。リップルやスイムに比べ、扱いやすそうだからという理由もあるのだろうが。

「生ぬるい試験はつまらない」というクラムベリーとファヴの行動原理が明かされたが、実に独善的な理由だ。『魔法の国』もクラムベリーの暴走を察知できていないし、魔法少女界隈のいい加減さが伺える。

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スノーさんの片鱗が見える表情



リップル対スイムスイム

カラミティ・メアリが残したスタングレネードが炸裂し、変身の解けたスイムスイムをリップルが刺殺した。
「トップスピード、怒ってるかな」と言うリップルは、内心では間違ったことをしているのかもしれないという躊躇いがあったのだろう。事実、本人は左腕と左目を失い、死にかけている。

けれども、復讐をしなければリップルは先には進めなかったのも事実だろう。



・端末を壊そうとするスノーホワイト

魔法少女の中では非力なスノーホワイトでも、端末を地面にめり込ませるくらいの力はある。が、頑丈にできている端末はその程度では壊れない。
スノーホワイトの攻撃くらいじゃ足りない足りない」とファヴが言っているが、クラムベリーレベルだったら壊せるのだろうか。
余談だが、このシーンでのファヴの高笑いがとても悪そうで好き。

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・「トップスピードを、笑うな」

本編中でもとても好きな台詞。
これまで、リップルはずっと自分のために怒ってきた。家庭環境を馬鹿にされたり、義父にセクハラされたり、メアリに喧嘩を売られたり、ことあるごとに拳を使って解決してきた。
そんなリップルが、友達を侮辱されたことに、誰かのために怒ったという事実が、この台詞に集約されている。

結果的に、リップルがルーラ(武器)をマスター用端末に叩き込み、巨悪は滅びた。
ファヴの困った心の声を聞き、スノーホワイトリップルを動かしたとも言えるが、おそらくスノーホワイトがいなくてもリップルは端末を壊しただろう。

スノーホワイトの存在は、作中の大きな流れの中でごくちっぽけなもので、クラムベリーやファヴに影響をもたらしたというわけではない。
影響があったというなら、作中で助けられた大勢の人たちだ。

スノーホワイトは、アリスをはじめ、たくさんの人助けをして、画面の見えないところで多くの歓喜と安堵を生み出したはずだ。しかし、それは彼女自身を取り巻く流れを動かすことはほとんどなく、状況は彼女を置いてきぼりにして、最後の決戦ですら間に合わずに終わってしまった。

スノーホワイト本人が言っているとおり、「小さな親切じゃ何も変わらない」のだ。
だが、その小さな親切のおかげで、アリスの心は救われ、スノーホワイトは助けられた。

小さな親切では何も変わらないのかもしれないが、まったく意味が無いわけでもない。
スノーホワイトは、偶然と幸運と、そして少しの応報によって生き残っている。

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初めての共同作業、と言えなくもない



・エピローグ

高校デビューして各地を飛び回っているスノーホワイト
会話しているリップルの声が優しくなっているのが細かい。

「後悔する前に自分で選びたいから」というのは、事件を経験した上での、スノーホワイトなりの決意だ。
リップルを相手に格闘訓練をしているが、まだまだリップルの方が強いようである。

最後に、「それでも私は夢見てる」と、本作のキャッチコピーを語ってくれるスノーホワイト。まだ魔法少女に絶望はしていない。
希望に溢れる、とまでは言わないまでも、喪失感や悲壮感だけではないものを感じるエンディングだった。



●まとめ

壮大な物語のプロローグという立ち位置の本エピソードだが、うまい具合に構成されていたと思う。ただ、全12話は尺がちょっと余り気味だったかもしれない。

しかし、これだけ多くのキャラクターを生き生きと描写してくれたのは素晴らしい。特にピーキーエンジェルズなどは、声と動きがあるからこその魅力を発見できた。全体的に満足な出来だ。

できれば続編の魔法少女たちも、動いているところを見たいものだ。特にクランテイルとか。


魔法少女育成計画 Blu-ray DISC 第1巻

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