傷口にユーゲル

主にアニメとか漫画とか仕事のこと

エロ電子書籍界におけるトップランナーDMM

前回の記事で触れられなかったので、DMM.comのことも書いておく。

DMMは、完全にエロ系に特化した電子書籍サイトで、エロ以外の品揃えは寂しいが、得意分野では他の追随を許さない。
試しに『ワニマガジン』で検索すると、Kindleは210件ヒットに対し、DMMは421件。
茜新社』だと、Kindleは131件に対し、DMMは脅威の2476件である。
エロ漫画系は単話でバラ売りすることも多いので、単純にそれだけの本を扱っているというわけではないが、DMMが品揃えで圧倒しているのは確かだ。

で、重要なのは、品揃えではなく、いわゆる『消し』の問題である。



Kindleで消耗するのをやめた話。またはKindleでの二重修正について - ぱすたけ日記
※R18表現あり

こちらの記事でわかりやすく説明してくれているので詳しいことは省くが、簡単に言うと、Kindleはエロ漫画を過剰に修正しており、ほとんどコンビニの漫画レベルの規制がかかっているので、修正のないDMMで買う方がいいという話である。
前回の記事でも『ラノベのイラストが拡大できない・拡大しても画質が悪い』ということを取り上げたが、これに比べればまさに些事である。
今回の記事を書くにあたって、DMMで買っていたのと同じ本をKindleの試し読みで確認してみたが、作家が精魂込めて描いたであろう『部分』が冷酷に白塗りされているのを見るのは、かなり切なくなった。

なんちゅうことをしてくれたんだと。超えちゃいけないライン考えろよと。
エロ本にあってエロが塗りつぶされているというのは、死活問題である。

しかし残念なことに、これはKindleに限らず、他の電子書籍サイトでも同様の傾向だ。
普段使いしているBookLive!で確認してみたが、こちらもKindle同様の修正が入っていた。
しかも取り扱っているというだけでもまだマシな方で、そもそもエロを取り扱わない書店もある。


では、他のサイトではエロ漫画の取り扱い状況はどうなっているのだろうか。
各サイトで探してみた。

誰のどの本を取り扱っていればOKかは難しいところなので、DMMの『アダルトコミック作家月間ランキング』から、ワニマガジンの作家を3名挙げてみる。

如月群真
Cuvie
いーむす・アキ

ある程度作品数があり、検索に関係のないものが引っかかりそうにない名前を選んだ(西安とかDISTANCEとかは、なんでこの名前にしたのか理解に苦しむ)。また、現在の男性向けエロ漫画電子書籍ワニマガジンがリードしており、他の出版社のものは扱っていないということも多いため、ワニマガジンを中心として考えている。
上記作家単体の明らかにエロな作品を1作でも扱っていれば1点加算。3点取れれば○、2点なら△、1点なら×で表す。当然だが、DMMは全作家揃っている。


kindle   ○
・BookLive!  △
・BOOKWALKER なし
Kobo    ○
・ebookjapan ○
・Kinoppy   なし
honto    ○?


BookLive!はいーむす・アキの取扱なし。ただし、作者が原稿を提供している快楽天(雑誌)は配信している。
BOOKWALKERとKinoppyは配信なし。ただしBOOKWALKERは、ペンギンクラブなどの雑誌は配信している。
hontoが特殊で、BSFフォーマットと呼ばれるコマ単位で表示をしていくスタイルの配信となっている。しかしそのおかげでひとつのタイトルが15本くらいに分割されていたりして、すごくめんどくさい。しかも読めるのはAndoroid限定だったりするので、あまり汎用性がないし、そもそもエロ漫画というスタイルにコマ単位の表示はたぶん合っていない。

Kindleは一応3人とも配信しており、Koboとebookjapanも○である。BOOKWALKERの出資会社がKADOKAWA、Kinoppyが紀伊國屋書店、BookLive!が凸版印刷であることを考えると、出版にあまり関係のない会社のほうがエロを取り入れやすいのかもしれない(Kobo楽天、ebookjapanはもともと電子コンテンツ販売会社のイーブックイニシアティブジャパンが開設した)。honto大日本印刷パトロンだが、攻めの姿勢なのはいいと思う。


さて、問題の二重修正についてである。
これらのサイトでKindleと同様の『消し』がなされているかをチェックしてみた。


消しについて
kindle    あり
・BookLive!  あり
・BOOKWALKER  あり(そもそも元の雑誌が修正大)
Kobo    なし
・ebookjapan  不明
・Kinoppy   取り扱いなし
honto    不明


まさかのKobo修正なしである。DMMと同様のレベルで見せてくれる。
しかもなぜか、DMM先行配信のはずの本が取り扱われていたりする。他のサイトでは配信されてないのに。
私が電子書籍を始めた頃のKobo(楽天)からは考えられないような輝きである。その当時はまさにクソサービスの代名詞としか思えなかったが、正直見直したと言わざるをえない。


参考
allabout.co.jp


blogos.com


なお、ebookjapanとhontoは残念ながら試し読みができなかったため、検証未達成である。少し心残りだ。
また、Kinoppyについてはどう頑張って探しても、「心がまぁるくなる禅の教え」とかの本しか見つからなかった。どうやら完全にエロはシャットアウトされているらしい。

Koboが修正をしないという英断をしてくれた以上、気になるのは品揃えだ。
ワニマガジン系はかなり揃えているが、残念ながら性癖オールジャンルをカバーしているとは言いがたい。
DMMのサイトで、『ロリ』で検索した場合、2898件ヒットするが、Koboはわずかに97件である。
『巫女』だとDMMで320件、Koboで144件。『女子高生』だとDMMが2853件に対してKoboが60件。
そして『人妻』だとDMMが3261件で、Koboが485件となる。DMMの守備範囲の広さと貪欲さが非常に際立つ。
これはDMMのタグが優秀で、あらゆるジャンル・シチュが本にタグ付けされているためだろう。Koboはタグがないため、タイトルや説明文にキーワードがなければヒットしない。

さらに圧倒的なことに、DMMは先に書いたように先行配信、独占配信をよく行っている。特にComic LOの電子配信を行っているのは、世界でこのサイトだけである。
そのあたりのもろもろを考えると、やはりエロ漫画はDMMで購入するのが最もよい選択だと思う。少なくとも現状では、他を圧倒している。


インターネットは女のケツで発達したというが、電子書籍もエロで発達しないだろうか。置き場に困ることはないし、人目を気にして買いに行くこともない。とても電子にマッチしたジャンルだと思うのだが。
エロ系を配信している他のサイトにもがんばってほしい。Kindleレベルの修正がスタンダードになってしまうと、上記のような発展を阻害することになってしまう。

いつの日か、DMMも修正をキツくする時が来るのかもしれない。いつの間にかLOの消しが大きくなっていたように、どうしようもない力学によって苦渋の決断を迫られる時が来るのかもしれない。が、少なくとも現在は、そういった悲劇は免れている。
今のところは、エロ電子書籍界のトップランナーであるDMMを応援することで、本記事のむすびとさせていただこうと思う。