もうちょっと他人に無関心になったほうがいいよ、という話
初夏を迎え、汗ばむような陽気が堪えるようになってきたが、暑さに耐えかねたのか、今年の新入社員が1人脱落した。
むしろ見切りが速いことは本人にとっても会社にとってもプラスである。縁が合わなかったことはしかたない。
しかし、入社から3ヶ月持たずに退職というのはやはり目立つらしく、ちょいちょい社内の話題に上がっている。
曰く、言葉が通じ合わなかったとか、重い病気持ちだったとか。
いろいろと噂はあるが、結局は本人の意志なのだから、人があれこれ詮索しても意味はないだろう。
だが、世の中にはそういった詮索が実に大量に溢れている。
ワイドショーの芸能ニュースは言うに及ばず、何かしらの事件が起これば、情報が何も揃っていないうちから、自称文化人が想像で糊塗した『考察』を展開する。
そして一般人もそれに追従してしまい、必要のない想像を逞しくし、根拠の薄い邪推を垂れ流してしまうことがままある。
先日北海道で起きた、小学生置き去り事件もひどかった。
親が犯人で、実は息子を殺しているだとか、息子が発達障害だったのではないかなどという憶測もあった。
結局本人は無事で見つかったのだが、それらの考察が発見の役に立ったかというと、そういうわけではないだろう。
普通に考えれば、子連れで死体を埋めに行くわけないのだが、センセーショナルな事件は格好の遊び道具になってしまうものだ。
人間が最も関心を寄せるのは、人間に対してである。
親しい相手に対してだけではなく、隣の部署の新人だったり、テレビの向こう側の誰かだったりに、過剰な関心を持つ。
好奇心といえば聞こえはいいが、実際には、野次馬根性と呼ぶべき心理が大勢を占めているだろう。
その関心は、あなたにプラスの効果を引き起こさない。
辞めた新人の心理を云々し、人格や忍耐力を寸評しても、あなた自身の能力が向上するわけではない。
成功者のゴシップに溜飲を下げるのも、報われない人間に優越感を覚えるのも、一時の娯楽としてはいいだろうが、ずっとそれだけにかまけていてもしかたない。
新人の根性がないと嘯くのは、過酷な環境で長年やってきている自分を持ち上げて見せたいという心理の裏返しである。
それによって環境がよくなることなどないし、わざわざ風通しの悪い職場を作ることに貢献している。
もう少し他人を放っておこう。
人が放っておいてくれることの尊さには、なかなか考えが巡らないものだ。

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