傷口にユーゲル

主にアニメとか漫画とか仕事のこと

電子書籍サイト使いやすさ比較

違法漫画アップロードサイトのほうが正規のサイトより使いやすいという意見があったので、検証してみる。

anond.hatelabo.jp


結論から言うと、漫画村(違法サイト)のほうが正規サイトよりUIが上回っているということはない。
ただ、増田氏が使っているのはほぼAmazon Kindleだけで、それとの比較で漫画村の方が使いやすいという意見のようだ。

それをふまえて、私がメインで使っているBookLive!、BOOK☆WALKERKindleDMM.comを比較してみる。


※記事中、赤字で示した部分はそのサイトのみのユニークな機能を表す。


まず先に、結論を表にしておく。

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●基本的なこと

元記事の追記で訂正が入っているが、Kindle始め各ストアはブラウザ上での閲覧が可能である。
なお、別にスマホでもOK。

端的に言うと、とにかくサイトデザインが良いのだ。ジャンルごとの区分けも明瞭で、文字情報も最低限なので目が滑ることなく見やすい。読みたい漫画が非常に探しやすいようにできている。

試しに漫画村のサイトを見てみた。

トップページは少年コミック、青年コミック、少女コミックなどとカテゴリ分けされたタブで細分化されており、それぞれの新着作品の表紙が並ぶ形になっている。

サイトの右上には検索のアイコンがあり、タイトルや作者名から検索が可能。

ここらへんは他の電書サイトでも同じようなものだと思う。


以下、すべてスマホタブレットでの利用を前提として書く。

・BookLive!

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各タブを開くと、キャンペーンバナー、新着作品、予約受付中作品、閲覧履歴からのおすすめ、無料作品、ランキングと並ぶ。

検索は普通に良い。タイトルか作者名を入力すれば、サジェスト機能でたいてい目当ての名前が出てくるので、それを選べばいい。検索結果はシリーズごとに表示される。

基本的には新着通知やおすすめ欄を見ているので問題ないが、ランキングはとても見づらい。DMMも同様の問題を抱えているので、詳しくは下で。

また、キャンペーンにときどき頭のおかしいものがあり、現在は『射精No.1グランプリ』というのをやっているらしい。アダルトマンガの中から射精描写が最も多い作品を決める企画だそうで、1位は通算63回を記録している。


BOOK☆WALKER

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ページの上の方はシンプルで、下の方にキャンペーンがずらっと並ぶのが特徴。以前には、『異世界特集』とか『グルメ特集』とか旬を押さえたキャンペーンも組んでいるが、やはり心に残るのは「オークと『異種姦』ヤろうぜ!」特集だろうか。

個人出版にも力を入れており、ときどき特集を目にする。検索はBookLiveとほぼ同様。

ランキングはとても見やすく、1~100位までをタブで4分割している。

タイトルをタップすると詳細へ、サムネイルをタップすると試し読みへスムーズに移動でき、右のボタンでカートに入れることもできる。ランキングの画面から余計な画面を経由することなくそこまでできるのは便利。

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昔は漫画は1号館、ラノベは2号館などといった呼び名で分けられていたが、やめてしまったらしい。その方がわかりやすいので良し。


Kindle

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ほぼAmazonのデザインそのままだが、他ストアに比べランキングの主張が激しい。ただ、検索が不親切で、デフォルトでは『おすすめ順』という謎の並びによって巻数がバラバラに表示される。シリーズごとの表示はなし。

さらに、目当てのタイトル以外の作品もかなりの確率でピックアップされるため、『出版年月が新しい順』にしても逆に見づらくなったりする。邪魔なこと甚だしい。

個人出版については有名なKDPがある。


・DMM

ほぼエロ目的でしか利用していないが、全年齢のストアも含めて普通に有能。検索も不足ないが、DMMらしく、漫画のタイトルを検索したら関連CDやBDが下の方にその他サービスとしてピックアップされたりする。

ただ、ランキングがとても見づらい。ページ切り替えではなく『もっと見る』をタップしていく形式(Togetterみたいな感じ)なので、『ランキング90位くらいを見たい』という時不便。

さらに、その90位の作品個別ページに入ってからブラウザバックすると、自動的にランキングの上位に戻ってしまう欠陥がある。そうなると、また80位周辺に戻るためには『もっと見る』の不毛な連打作業が繰り返される。

このあたりは、即時改善してほしい点だ。

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ランキング下位まで来てから作品詳細を見る。

    ↓

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ここでブラウザバック。

    ↓

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30位まで戻されてしまった。


中でも関心したのが検索結果の出力についても巻数ごとの表示とタイトルごとの表示の両方をユーザーが自由に切り替えれるようになっている点で、この機能は今すぐにでもあらゆる電子書籍販売サイトに丸パクりして頂きたい。

個人的には「いるかなぁ?」と思う機能だが、BOOKWAKERでは実装されている。


●ビューワなど

検索ページだけでなく、実際に漫画を読むページも実に良い。1つ漫画を読むと、同じページに必ず同タイトルの全巻が表示されるようになっている。当たり前のようだが、実はAmazonですら時折この「他の巻も全部表示」に対応していない漫画があって、正直「正気かお前ら」と出版社に対して暗澹たる気持ちになることが少なくない。他のサイトでも「同じ作者の他の本」や「この購入者は他にもこんな本を」などの情報が10件程度出力されるが、肝心の次の巻が見当たらない、というページが普通に存在する。漫画村、何という親切設計。

・BookLive!

読み終わった場合、次の巻が表示される。『同タイトルの全巻』は、その表示された表紙をタップすると『シリーズ作品』として一覧が表示される

ブラウザで読んでいる場合、メニューからシリーズ一覧に飛べる。アプリで読んでいる場合、シークバーの下にシリーズ全巻が表示される

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BOOK☆WALKER

次の巻が表示されるが、『同タイトルの全巻』は表示されない。


Kindle

次の巻が表示されるが、『同タイトルの全巻』は表示されない。


・DMM

次の巻が表示されるが、『同タイトルの全巻』は表示されない。


実際のビューページも実に親切な設計だ。まず単純に1ページずつと見開きページの両方を選べるようにできている。これも当たり前のようで対応していないサイトが未だにあったりするのだ。

上記4サイトすべて対応している。

だいたいスマホタブレットを横向きにすれば自動的に見開きになる。

そしてさらに関心したのがビューページ上の「ずらす」というチェックボックス。最初は一体何のことか分からなかったのだが、ここにチェックを入れると、偶数ページと奇数ページが見開きの左右どちらに来るかを変えることができるのだ(左右が入れ替わる訳ではない。簡単に言うと3,4ページが見開きになっていたのが4,5ページに変わるのだ)。

上記4サイトでは存在しない機能の模様。DMMで実装されていたような気がするのだが、どうにも無理っぽい。

それどころか裏表紙をそもそも載せていない、という電子書籍もかなり多い(むしろ裏表紙のある場合の方が少ないレベルだ)。折り返しや背表紙などに至っては、全て揃っている電子書籍などほとんどないのではないだろうか? 紙の書籍の方には作者コメントの1つでもあったんちゃうんかボケえ。

これはストアというより出版社側で決まっているように思う。

カバー裏、裏表紙、カバー折り返しまで収録しているのは、私の知る範囲ではスクエニマッグガーデン芳文社くらいしかない。あとはKADOKAWA系が載せたり載せなかったりだろうか。

正直エロ漫画のほうがよほど真摯にその辺を収録している。ワニマガジンとか。

確かにこの点は、もう少し改善されてほしいところだ。

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やはりきららは偉大だった

さらに重ねて言うと、これは私自身で確認した訳ではないが、どうやらその違法アップ漫画にはしっかり店舗特典もついているのだそうだ。

さすがに店舗特典が付いているサイトはないが、BOOK☆WALKERやDMMでは、そのサイト独自のメッセージペーパーが付いていたりする

帯や特典の有無を超えてさらに問題なのが、違法サイトでしか読めない絶版本の存在だ。

現状マンガ図書館Zに期待するしかないかなぁ。


●アプリの機能

元記事ではブラウザで読むことをメインに置いているようなので、アプリの比較もしておく。


・BookLive!

本棚機能が上記サイトの中で現状最も使いやすい。

本棚は複数作成でき、それぞれ自由に本を分類できる。私は現在10個本棚を作って1200冊ほど保管しているが、挙動に問題はなし。

特に漫画、ラノベなどのシリーズものは自動的にまとめてくれるので、整理しやすく本が迷子になりにくい。

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シリーズごとにアイコンが並ぶ
      ↓
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選んだシリーズが全巻表示される


また、ユニークな機能として、本棚を鍵付きにすることができる。
鍵付き本棚に収納した本は、暗証番号を入力しない限り非表示となり、読むことができない。

家族や友人に端末を貸す時、見られたくない本はこれでガードしてくださいということらしい。

ついでに、新刊が配信されたら本棚のサムネイルにチェック表示が出るので、買い逃しも少なくなる。
そして上でも触れたが、読書中に他の巻に自由に移動できるのは便利。


BOOK☆WALKER

本棚のデザインを選べるのが特徴。オーソドックスなラック風のものから、作品の購入特典としてもらえるテーマまで、けっこう幅広く楽しめる。

また、購入した本の一覧では、タイトル順、購入日順、著者順、レーベル順などで並び替えられる。


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作品購入でもらえるスキンは結構ある


ただし、BookLiveと違い、シリーズごとにまとめて移動はできないため、目当ての本を自分で選んで『この本棚に入れる』という操作を必要とする。複数チェックして移動すればいいのだが、けっこうめんどくさい。

本棚は一切使わず、一覧から選んで読むということもできる。シリーズ順に並べられるので、こちらのほうがむしろ便利かもしれない。

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購入日順やシリーズ順に並べるとわかりやすい。


Kindle

増田氏もKindleをクソだクソだと言っているが、一番キツいのはアプリだろうと思う。

まず、一覧表示が『最近』、『タイトル』、『著者:昇順』、『著者:降順』の4通りでしか並び替えできず、「もう読まないだろ」という本を非表示にすることすらできない。

※2018.3.4追記:
本当に必要なくなった本なら、所持リストから完全に消去することはできる。
その場合、再度購入し直さなければ読むこと自体ができなくなる。



『コレクション』という名前の本棚機能もあるが、特に整理しやすいというわけでもなく、フォルダ分けして手動で順番を入れ替えられるようになるというくらいである。その様は、本棚というよりダンボールに放り込むが如し。

また、タイトル順に並べた時、○○1巻、10巻、11巻、2巻などという並びになるのはもはやギャグとしか言いようがない。勘弁してくれ。


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なぜかこのタイトルだけ並びがおかしい。原因不明。


※2018.3.4追記:
現在は漫画をシリーズごとにまとめて表示する機能が追加されたため、整理はしやすくなった……といいたいところだが、タイトルによってはちゃんとまとめきれていないことがあり、完全ではない。


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全17巻のうち、2、4、5、6、11巻が仲間外れにされる


また、シリーズまとめ機能は漫画のみで、ラノベなどには対応していない。


ただし、以前記事にした時と違い、ラノベのイラストは拡大できるようになっている。進歩である。


関連記事
電子書籍のラノベをBOOKWALKERで読むメリットについて - 傷口にユーゲル


どうでもいいが、読書の進捗が他のサイトと違い、ページ数ではなくパーセンテージで表される。ただしDMMはページ数とパーセンテージ両方表示される。


・DMM

なにげにアプリ自体は使いやすい。シリーズごとに自動的にまとめてくれ、当然というべきか、鍵付き本棚機能も実装している。

基本的には、購入した本は『購入済み』という本棚に一括して入れられ、ダウンロードした際に、作成した本棚に収納するような形になる。

そして特筆すべきは、自動再生機能の存在である。

2秒から60秒までの間隔で時間を設定しておき、再生ボタンを押すと自動でページをめくってくれる。実にDMMらしいきめ細かい機能だといえる。

さらに、シークバーをスライドさせる際、同時にサムネイルが表示されるのが地味に嬉しい。

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惜しむらくは、本のデータを削除した際、本棚から自動的に『購入済み』本棚に戻されてしまう点だろうか。

この時、もとの本棚から表紙の画像も消えてしまうため、せっかくわかりやすい本棚を作っても、中身がリセットされてしまう。他の3サイトではちゃんと表紙は残るため、本の整理という点では一歩譲るか。


●セール・ポイント還元

使いやすさの比較なので軽く触れるに留めるが、だいたいBOOKWALKERとKindleが頻繁にセールをやっている印象。

BookLiveも変則的ではあるが、週末には全作品クーポンがほぼ確定で手に入るので、20~30%オフ程度は普通に狙える。

DMMはあまり安くないと思っていたが、今回調べていたらちょうど50%オフの大規模セールをやっていた(1/22まで)。時代は動いているらしい。

●まとめ

Kindleを投げ捨ててどっか別のサイトに行こう。


書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)

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