「魔法少女育成計画」11話感想
ルーラはなんでも言ってる
・アバン
1話冒頭がクラムベリーの過去だったことのネタばらし。
「暴走! 死亡!」というファヴのノリノリな実況がなんか面白い。
クラムベリーの声も幼く、けっこうな昔のことだったことが伺える。
・たまのジャイアントキリング
スイムスイムの正体を見た時のクラムベリーの表情が何とも言えない。
結果として、たまに隙を突かれて上半身をパージしてしまうことになる。
ウィンタープリズン、トップスピード、ハードゴア・アリスに続き、今回も、間接的にではあるが、スイムスイムが相手の不意を討って倒す形となった。不意討ちは強い。
これまでパッとしなかったたまが、黒幕であるクラムベリーを打ち倒すカタルシス的なシーンだが、その後即座にスイムスイムに首を斬られてしまう。
流れるような脱落の連発が恐ろしい。
それにしても、クラムベリーのせいでクレーターができた現場に、首を斬られた女子中学生と、変なコスプレをした下半身しかない死体が並んでいるというのはすさまじい光景である。この現場を発見した人は精神を病まないだろうか。
・珠の回想
勉強も運動もダメダメだった、犬吠埼珠の回想。
アイキャッチで紹介された際、『おばあちゃんのことが大好き』と書かれていたが、そのおばあちゃんはすでに故人となっていた。
話す人が誰もいない珠が魔法少女になって、教育係となったのはルーラだった。
このルーラとたまのエピソードがとても好き。
教育用のテキストを用意し、わからない漢字にはその場でルビを振ってくれるルーラのマメさが光る。
「友達だってできた」という台詞の『友達』とは、やはりルーラのことだろう。スイムスイムやピーキーエンジェルズのことも同時に指していると考えてもいいが、少なくとも、たまの中でルーラは大事な仲間だという認識はあったはずだ。
スイムスイムに流されるままルーラを死なせてしまった事実が、たまの心に何を残していたのだろうか。
・綾奈にマスターの心得を説くファヴ
「習ってない漢字が多い」と言う綾奈に、「仕方ないぽん。あとでふりがなを付けとくぽん」と返すファヴ。ルーラはその場ですぐに付けてくれたというのに、気が利かない。
この時綾奈が漢字の書き取りで書いているのが、『友』という字なのがなかなか皮肉だ。
「ルーラなら、みんな死なせずにマスターになれたのかな」という綾奈の自問に答えるとするなら、たぶんNOだ。理由として、
・そもそもファヴのマスターなどという得体の知れないものになろうとはしない。
・マスターになるとしても、クラムベリーの殺害が絶対条件のため、非常に困難。たまがクラムベリーを仕留めたのは、幸運の結果。
・ルーラはキャンディを奪いはするが、積極的に殺し合いをしようとはしなさそう。
・キャンディを奪うことに失敗した場合、チーム内から最下位の脱落者が出る可能性がある。特にピーキーエンジェルズやたまがかなり危険。
・キャンディの奪取に成功した場合でも、ラ・ピュセルのように力づくで取り返そうとされたり、他の魔法少女から警戒されたりするため、危険は大きい。
などといったものがある。
リップルからの『会いたい!』というストレートなメッセージがなんか笑ってしまう。口下手な彼女らしいといえばらしい。
「仇だから……友達の」と、トップスピードへの気持ちが迸るような台詞が心に刺さる。
またここで、リップルがスノーホワイトに憧れていたことが明らかにされる。
スノーホワイトは、本作で唯一、魔法少女らしい『人助け』という行動しかしていない。
血みどろな作中で、『正しい』魔法少女としての行動を続けていたスノーホワイトが、結果的にここまで生き残ったというのは象徴的だ。
鍵をなくして困っていた亜子を助けたスノーホワイトは、アリスに命を助けてもらった。
悪魔を倒した時の快感が忘れられず、殺しを続けていたクラムベリーは、綾奈の姿とかつての自分を重ね合わせてしまい、負け犬と侮っていたたまに殺された。
善行が必ず報われるわけではないが、その人の行いがある程度巡り返ってくるのが、なんだか寓話的ではある。
・トップスピードの幻覚を見る華乃
さすがにトップスピードの遺体をベランダに置くのはどうかと思うが。
リップルの世間知らずなところが出たともいえるし、混乱していて、考える前に行動したともいえる。
最後に、意外なことにリップルの変身バンクが披露された。1話のスノーホワイト以来のバンクである。シリアスなBGMとのギャップがすごい。
単に尺の都合で入れたという感じでもあるが、「私は魔法少女じゃなくていい」と言った回のラストでこの映像が挿入されるのは意味深だ。
復讐のために戦うリップルと、戦うことのできなかったスノーホワイト。
対照的なようだが、ふたりとも、同じく『魔法少女』なのだということが示されているように思う。
なんだかんだでキメポーズを忘れないリップルさん
●まとめ
とうとうラスト1話まで来てしまった。
ちょっと尺が余りそうな感じがするのだが、どんな締め方になるのか今から気になるところだ。
さすがに最終回は、もうルーラの出番はなさそうか。せっかくだから最後まで出てきてほしい。
- 作者: チャド オーゼル,Chad Orzel,佐藤 桂
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