『賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求 痛』パロディ元ネタ考察
降りしきる雨の中、生まれたばかりの新刊が鳴いていた。
足を止めて見下ろすと、『保護してあげてください』とマジックで書かれたダンボールの中に、1冊の電撃文庫があった。
哀れみを誘うような鳴き声とは裏腹に、その全身からは漲るような闘気が立ち昇り、表紙に落ちる雨を蒸発させていた。
うっすら白くけぶるその本体に目を凝らすと、『賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求 痛 ~愛弟子サヨナと今回はこのくらいで勘弁しといたるわ~』という名前が見て取れた。
見覚えがある。先日保護した『賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求 ~愛弟子サヨナのわくわく冒険ランド~』の面影が、その新刊にはあった。どうやら血縁らしい。
私は傍らへしゃがみ込むと、文庫を手に取った。303ページのすべてが、カミソリのように鋭く読者を威嚇している。この世のすべてに牙を剥くような、まさしく野良犬の闘魂を全身で発散していた。
表紙では泣いていても、反骨の精神はその小さな体に強力に備わっている。
慎重にページをめくった。すると、獣臭のする黒々としたナスがまろび出てきた。
私はしばらくの間自失すると、文庫を閉じ、もうしばらくの間うなだれた。
以前にも増して気合が必要だろう。そう悟った私は、ニトログリセリンを運ぶようにその文庫を自宅へと連れ帰った。
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『賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求』パロディ元ネタ考察(短編版) - 傷口にユーゲル
●サブタイトル『~愛弟子サヨナと今回はこのくらいで勘弁しといたるわ~』
池乃めだかの持ちネタ、『今日はこれぐらいにしといたるわ』から。
変更前のサブタイトルは『~愛弟子サヨナのふわふわバニラで高収入~』で、電撃文庫の新刊案内にはこのタイトルで紹介されていたものの、土壇場で変更になった。元ネタは都市部を走っている広告宣伝車、いわゆる『バニラカー』とそのテーマソングから。
この辺の経緯は作者のnoteに詳しい。
●口絵
やったねサヨナ! 弟子が増えるよ!
カワディMAXのエロ漫画『コロちゃん』に登場するセリフ「家族がふえるよ! やったねたえちゃん!」から。
なぜか最近になって『月刊コミックフラッパー』にて新連載が始まった。タイトルは『やったねたえちゃん!』。
数多の変態! 圧倒的・邪道!
《倍震》は汚いライトセイバーとして描かれている。全体の構図は『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』のポスターに近い。
●第八話◎出入り口と弟子
「(略)そんなボォクの名前は《ガヴァーナ》! 『ナルア公国』は『モンギク領』を治めている、いわゆる貴族ですよぉぉー!! よろしく!!」
それぞれ『ガバガバな穴』、『アナル』、『菊門』から。しょっぱなからヒドい。
「しからば語りましょうッ!(略)ンギモッヂイイ!!」
ゲイ向けアダルトビデオ『真夏の夜の淫夢』に登場する喘ぎ声から。
「いやこいつの薄汚え尻尾は後天的に生やしたものですよね!? 言うなればピンポイントびんぼっちゃまスタイルですよ!? 社会の窓ならぬ欲望の窓ですよ!?」
『おぼっちゃまくん』に登場する貧保耐三、通称びんぼっちゃまのファッションから。体の前半分はスーツだが、後ろ半分は素っ裸という節約スタイルを取っている。
シコルスキの手を打ち払い、サヨナは手近な《倍震》を一本手に取って構える。左手を前に出し、右腕を引くような構えは、さながら牙突前のアレである。
『るろうに剣心』に登場する斎藤一の必殺技『牙突』から。カクヨムの特別短編でも既出。
「ユージンくんの背後にデデデ大王の親戚みたいなペンギンが見えますねぇ」
ディスカウントショップ『ドン・キホーテ』とその公式キャラクター『ドンペン』から。たしかにちょっと似ている。
「三人に勝てるわけないじゃないですか」
淫夢語録「3人に勝てるわけないだろ!!」から。
「そのふざけた顔面をブチ耕してやらァーッ!!」
『とある魔術の禁書目録』の主人公、上条当麻のセリフ「そのふざけた幻想をぶち殺す」から。
●第九話◎マウントの応酬と弟子
「先程、《カクヨ村》の村長から連絡がありまして。急を要するとのことで、すぐに我々の力を借りたい、と。お呼びとあらば即参上ーーそれが我々、ギルド賢勇者の信条でしょう?」
「そんなJ9的な信条も初耳ですし、ギルドとかいう設定も現時点が初出ですよ」
アニメ『J9シリーズ』の第一作、『銀河旋風ブライガー』OPのナレーション口上から。
【名前】シコルスキ・ジーライフ
【種族】多分人間族(♂)
【年齢】寝起きも元気
【職業】賢勇者
【レベル】1919191919191919
【HP】454545450721
【MP】696969696969
【筋力】81818081
【知力】191945450721
【敏捷】96108169
【器用】46108119
それぞれ
【レベル】イクイクイクイク…
【HP】シコシコシコシコオナニー
【MP】シックスナイン
【筋力】ぱいぱいぱおっぱい
【知力】イクイクシコシコオナニー
【敏捷】くろいおっぱいシックスナイン
【器用】しろいおっぱいシックスナイン
なんだか死にたくなってきた。
「ジンバブエを鼻で笑うレベルのインフレ!?」
2015年に廃止されたジンバブエの通貨、『ジンバブエ・ドル』は、最終的に300兆ジンバブエ・ドル=1円という天文学的なインフレを起こしていた。
「なるほど……。いやなるほどなのかな……? っていうか先生のステータスやばくないですか? スカウターで見たらスカウターどころか装着者の頭ごと爆散する数値ですよ」
『ドラゴンボール』に登場する戦闘力を数値化するアイテムから。相手の戦闘力が急激に上昇した場合、爆発してしまうことがあるという欠陥を持つ。
「この村は現在、非常に濃いNS粒子が漂っています。(略)」
なろう小説粒子。『機動戦士ガンダム00』に登場する『GN粒子』に語感が近い。
「特殊も何も、これわたしじゃなくて本作でお馴染みのロベルト・ペタジーニ選手における2010年時の成績じゃないですか!!」
ペタジーニ選手は特別短編も含めて都合3度目の言及となる。
「ああ。本来この村には電撃文庫公式連載物産展ってのがあってな。(略)これを見た君も今すぐアクセスだ!」
「要するに、我々はともだチンゴというわけです」
『おぼっちゃまくん』の主人公、御坊茶魔が親愛を表現するために起こす行動『ともだちんこ』から。
元ネタでは、相手に自分の局部を触らせるというのが正しく、自らの急所を預ける男気のある行為。
「そんな理由で信頼の置ける親友の首を飛ばすって相当やばいですよあなた!! 鬼島津!?」
戦国武将の島津義弘から。寡兵で大軍に勝利する猛将として知られる。
それぞれ『究極超人あ~る』、『Dr.スランプ』に登場するロボット、もしくはアンドロイドから。
ときどき首が取れたり部品がこぼれ落ちたりする。
「いえ、全く。それにしても玉座に座って周囲にヒロインを侍らせてそうな顔をした方だ」
「お前その記念撮影構図に恨みでもあんの?」
前作最終話のセリフ
「玉座に座って周囲にヒロインを侍らせてそうな方々だ。彼らは強いですよ、ユージンくん」
「最近のラノベの表紙の話すんなよ!! 記念撮影したいだけの連中かもしれねえだろうが!!」
から。
「『広澤克実選手はどの球団のOBなのか問題』に通ずるものがありますねえ」
元プロ野球選手の広澤克実から。ヤクルトスワローズ、読売ジャイアンツ、阪神タイガースでプレイし、そのすべてのチームで優勝を経験した。
定食チェーン『やよい軒』はご飯のおかわりが無料だが、2019年に試験的に12店舗で有料化を導入したことがある(現在は無料に戻されている)。
「甘いですよ、構図ボーイくん。(略)ステータスオープン(卍解)!」
『BLEACH』に登場する武装、斬魄刀を解放した状態から。卍解した斬魄刀の戦闘力は、始解時の5倍から10倍になる。
個人的に好きなのは『金色疋殺地蔵』と13km伸びると言いつつそんなに伸びないやつ。
「分かりました。ご存知と思いますけど、道中の樹海は危険なので手練の方でお願いします」
1話前で死に設定になっていくと言っていたがそうでもなかった。
●第十話◎暴虐と弟子
ユージンの目の色が変わった。(その血の目覚め)
アニメ版『ジョジョの奇妙な冒険』のOPタイトル『ジョジョ~その血の運命』から。
「朕は国家なりの体現者とでも言いましょうかね、彼女は。マジで歴史的暴君(サヨナ14世)です」
「大人サヨ嬢に会いてえ!! 会いてえよ!! もう俺やだよあの怪物(ネロ)は!!」
それぞれ「朕は国家なり」と発言したとされるフランス国王ルイ14世、および暴君として表現されることの多いローマ帝国第5代皇帝ネロ・クラウディウスから。
例えるのならば、何かボクサーがよくペシペシしている喉ちんこみたいな形状のアレが揺れる感じで、シコルスキの急所が強襲される。
パンチングボールと呼ばれるトレーニング用サンドバッグ。
「おお……野原しんのすけ以外であのような攻撃方法を持つものが居るとは……」
映画では敵の股間に頭突きしたりする。
「いかがわしい広告の薬物使用後並に伸びてんな」
エロ関係のウェブサイトによく登場する、『〇〇cm増大!』みたいなKADOKAWAを大きくするためのサプリメント広告から。
ありがとう 私たち、幸せになります
ーーCOMIC HOT MILK 2019年9月号
コアマガジンのエロ漫画雑誌から。大人の事情により、2019年9月号を最後にコンビニ売りは終了した。また10月号から雑誌がリニューアルされ、ページ数が増えたりそれまで白塗りだった部分がモザイク処理になるなどの変更があった。
余談だが、ホットミルク誌上では古賀亮一の『ゲノム』という、虫をテーマにしたギャグ漫画が連載されており、この号ではユムシがテーマになっている。
『バウワウ!』
英語圏での犬の鳴き声。もしくは、成田良悟のライトノベル『BOWWOW!』から。
●第十一話◎トレモと弟子
『トレモ』は格ゲーなどで『トレーニングモード』と呼ばれる練習モード。棒立ちのCPUに対して技を打ち込み、コマンドの練習をする。
「ボキを連続で踏むと1UPするでフよ!?」
「キノコ王国に帰れ!!」
『スーパーマリオ』シリーズでは、マリオが敵を9回連続で踏むと1UPできる。また、ノコノコの甲羅など、踏んでも消滅しない敵を踏み続ければ無限に1UPすることができる。
「ぼ、ボキは《タブゾマ》って言いまフ。よろしくお願いしまフ、賢勇者スコルスキ様」
『マゾ豚』から。どストレートである。
「うおぉぉい!! 舌でサーチングするな!! ヤコブソン器官でも備えてんですか!!」
通常の嗅覚系とは異なる副嗅覚系に属する、鋤鼻器と呼ばれる器官のこと。フェロモンを受容することで知られ、蛇が舌を出し入れするのは空気中の化学物質をヤコブソン器官に運ぶためだという。
非暴力・不服従という手段で植民地政策に対抗したマハトマ・ガンジーから。
「戦戦(チンチン)!!! 呼ッ」
空手の防御的な構え『三戦(サンチン)』から。また、『グラップラー刃牙』に登場する愚地独歩がこの構えを取ったシーンから。「三戦(サンチン)!!! 呼ッ」
「御坂……美琴さん……? そ、そのビリビリした方とはどうすればお会い出来るでフ……?」
「一生涯会えねーよ!! あなたも我々も!!」
『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』シリーズに新作が出ればワンチャンある。
「人間が就ける職の範囲外じゃないですかそれ!? 心を持ってダーマ神殿に行け!!」
『ドラゴンクエスト7』では『モンスターの心』と呼ばれるアイテムを持ってダーマ神殿に行くと、モンスターに転職できる。
「ハァ、ハァ……! 賢勇者様の、この流れるようなプレイの継続、これはもう前職が花びらの大回転をマイクで煽り続ける兄ちゃんとしか思えないでフ……!」
風俗店においてしばしば耳にする言葉から。嬢が入れ替わりでプレイをしてくれるさまを大回転と形容する。
「宣伝バナーのモブばりにわたしを異世界転生者っぽく持ち上げないでください!!」
思いつくところでは、
・『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』の「うああああああああ!!! 魔女様マジで強すぎですぅぅぅぅ!!!」
・『転生勇者の異世界ライフ~第二の職業を得て、世界最強になりました~』の「強すぎておかしいって意味だ!」
などなど。
「一人でファイナル・デスティネーションごっこでもしてるんですかこの豚は!?」
2000年公開のアメリカ映画から。事故による死を回避しながらも、次の死の運命に直面し続ける若者たちを描く。
「じょうおうのおしごと! というわけですか」
将棋モチーフのラノベ『りゅうおうのおしごと!』より。
●第十二話◎弟子の弟子と弟子
「先に伝えた通りだ。こちらは某国のやんごとなき身分のお方、《アリス》様。そして私は、アリス様に仕える一介の騎士、《シューリエ》。(略)」
それぞれエロゲーブランドの『アリスソフト』と『エウシュリー』から。
「やめまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁせん!! だって私は姫騎士だからあ!! 姫様の命令は絶対だからあ!! だからここでエクスカリバーを全部飲み込んでしまうからあ!!」
前巻と同じく、BL小説『ナイトは妖しいのがお好き』の帯『そう…。そのまま飲み込んで。僕のエクスカリバー…』から。
「見せる気がありませんわね……シューリエ! その秋沙雨をやめなさい!」
「一人テイルズ・オブ・きゅうり!?」
ゲーム『テイルズオブ』シリーズに登場する技から。連続突きののち、とどめの一撃を与える。
「お疲れしゃーす!! 自分、メスーキ王国姫騎士のシューリエって言います! 中坊ン時からハマジャック先輩のファンっした!! 剣にサインもらっていいすか!?」
『メスーキ王国』は『メスイキ』から。まさかこんなところで最終話やガヴァーナとの繋がりが示唆されていたとは……
「これは……想像の中でハマヤン氏がサヨナくんにひゃくれつなめしている……! 最早どう足掻いても想像上のサヨナくんの守備力は0になりますねえ。かくかくしかじかです」
『ドラゴンクエスト』シリーズに登場する技から。ひゃくれつなめされた相手は鳥肌が立ち、守備力がゼロになってしまう。
「妹弟子への理不尽な暴力はいけませんよ、サヨナくん。マスコミにリークされると、我がシコルスキ部屋が行き過ぎた可愛がり問題として炎上してしまう」
「角界!? だって……うう、すいません。えっと、続けてください」
相撲用語で『かわいがり』というと、相撲部屋の若手力士をぶつかり稽古でしごきあげることを指す。
「口調とブッ込み方に徹子感がありますねえ、アリスくんは」
黒柳徹子のトーク番組『徹子の部屋』から。一発ギャグをさらっと受け流したり、芸人殺しのリアクションを取ることで知られる。
「ーー実は、この小瓶の中には『感度を3000倍にする薬』が入っているのです」
「唐突な対魔忍イズム!?」
アダルトゲーム『対魔忍アサギ』から。敵に囚われた際に、全身を性感帯に変えられ、感度を3000倍にされてしまうという状態になった。シコルスキの薬のほうがまだマシである。
「ルールの説明ですが、攻め側はこのつんつん棒で受け側の身体のいずこかを突っついてもらいます。そこが感度3000倍ならば攻め側の勝ち、そうでなければ受け側の勝ちとなり、攻守交代となります。ね? 簡単でしょう?」
絵画番組『ボブの絵画教室』において、講師のボブ・ロスが絵を描く際に言うセリフ「ね? 簡単でしょう?」から。とても簡単には見えない速度と完成度で絵が仕上がるさまは必見。
「じゃあ散沙雨でいいっスわ」
『テイルズオブ』シリーズの技から。連続突きで敵を拘束する。HIT数は5程度。
シューリエは身体中の汁が出そうな部分全てから汁を放出した上で、舌をべろんと露出して白目を剝き、何故か両手にピースサインを作り気絶していた。
いわゆるアヘ顔ダブルピース。前作でも言及したが、『信じて送り出したフタナリ彼女が農家の叔父さんの変態調教にドハマリしてアヘ顔ピースビデオレターを送ってくるなんて…』が元ネタとして有力。
ずいずいとハマジャックの股及び●(再現不可能)がサヨナへとにじり寄っていく。大きく腰を反り返らせたその体勢は、半端なマトリックス感があった。
もちろん映画『マトリックス』の銃弾を避けるシーンから。
相変わらずバチィィンしていることに加え、新型の《救水》は乳首部分が円型にくり抜かれており、ハマジャックの漆黒の意思を示すような乳首が露出しているのである。
『ジョジョの奇妙な冒険 第7部STEEL BALL RUN』の主人公、ジョニィ・ジョースターは、敵であるリンゴォ・ロードアゲインから『漆黒の意思』の持ち主であると指摘されている。目的のために誰かを排除したり人の道を外れることを厭わない強固な意志のこと。
●第十三話◎就活と弟子
「雷禅、躯、黄泉ーーしかし煙鬼!」
「桑原好きだったのに……ってその説明で納得出来るわけないでしょう!?」
『幽☆遊☆白書』の魔界では、雷禅、躯、黄泉の三勢力が三つ巴を演じていたが、魔界トーナメントにおいては雷禅の昔の友人である煙鬼が優勝した。
また、魔界編ではそれまでレギュラーメンバーだった桑原がほとんど登場していない。(最終巻でまた活躍してくれたのは嬉しい)
ええ。またの名をーーてんで性悪×ハンター白書E暗黒大陸!」
冨樫義博の漫画、『てんで性悪キューピッド』、『HUNTER×HUNTER』、『幽☆遊☆白書』、『レベルE』から。また、『HUNTER×HUNTER』に登場する未知の世界、『暗黒大陸』から。
年寄りには聞こえないレベルの音域で、カグヤに素で煽られたサヨナは猛っていた。
モスキート音と呼ばれる超高周波数の音域と思われる。
「描写がヘッタクソだから伝わんねえけどさあ!! これエルヴィス・プレスリーの舞台衣装(ジャンプスーツ)だよなあ!?(略)」
こういう感じの。
「これは面接です。彼女は礼節に欠け、更に敬語が一切使えていませんでした。そのような応募者はこちらで強制的(スーパー)にご退室(ひとしくん)して頂きます。我々も遊びではないのでね」
クイズ番組『日立・世界ふしぎ発見!』から。スーパーひとしくん人形は通常のひとしくん人形の数体分の価値があるため、ボッシュートされると悲しい。
「マネ虎の虎達の方が遥かに優しいですよ!?」
テレビ番組『¥マネーの虎』から。起業家が自身の事業計画をプレゼンし、それに出資者が投資するかを判断する。その過程では起業家に対する強烈な非難が起こることがしばしばあった。
「ひとつウエノ男キャラになることです!!」
包茎手術で有名な上野クリニックの広告『上野クリニックで、ひとつウエノ男になる。』から。
●第十四話◎ご新規様と弟子
アメリカの歌手、シンディ・ローパーから。ピンクを始めとする奇抜な髪色で知られ、『七色の声を持つ歌手』と言われる。
「むしろ発想力が富豪じゃねえのかそれは!? っつーか往年ならルイズ、最近なら夢見りあむとか人気だろうがァーッ!!」
『ゼロの使い魔』に登場するヒロイン、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと、『アイドルマスターシンデレラガールズ』に登場するザコメンタルアイドルから。
個人的にピンク髪ヒロインといえば、昔なら天上ウテナとラクス・クライン、最近なら『魔法少女育成計画』のスノーホワイトと『ゆるキャン△』の各務原なでしこ。
「「サワムラー?」」
「イエスって答えたらじゃあキサマらサワムラー指名させてくれんのか!? ああ!?」
「申し訳ありませんが、当店はエビワラーしか在籍しておらず……」
「何なのであるかこの店は!? 育て屋さん!?」
『ポケットモンスター』シリーズに登場する格闘ポケモンから。
エビワラーがいるなら、育て屋さんというより格闘道場かもしれない。
「オプションはどうすんだ」
「AFある?」
「いきなり難易度が高えなあ!! なんの略称なのかは分からねえけどさあ!!」
「すみませんが、ヨナサちゃんはそのオプション対象外でして」
アナルファックのこと。
第八話で貞操を守り切っただけあって、そちらの守りは固かった。
「指ごとキレイキレイされんの!?」
「当店自慢の、ワクワク指(エンコ)詰めセットです」
ライオンから発売されているハンドソープから。
キレイキレイ 薬用 泡ハンドソープ シトラスフルーティの香り 本体ポンプ 大型サイズ 500ml(医薬部外品)
- 発売日: 2018/03/26
- メディア: ヘルスケア&ケア用品
「じゃあマ●コデラックスさせろ!」
タレントのマツコ・デラックスから。何もかもがヒドい。
「き、君、関節柔らかそうだね? figmaかな?」
グッドスマイルカンパニーが販売しているアクションフィギュアシリーズから。「ヌルッと動いてピタッと止まる」がテーマ。
「とりあえずセックスみたいな風潮が文学にあるからあ!! 後は流れでお願いします!!」
「無いですよそんな風潮と流れは!! 今は亡きケータイ小説の間違いじゃないんですか!?」
2011年に社会問題となった、いわゆる『大相撲八百長メール』の文面『立ち合いは強くあたってあとは流れでお願いします』から。
また、ケータイ小説黎明期の代表作、『Deep Love アユの物語』などは性的描写が多かった。
「君の母ではありません。当店のレジェンドです。君も好きでしょう? 通常洗体が全身洗体で二回口撃のお母さんは」
『通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?』から。この回はケンカの売り方が激しすぎる。
●真・最終話◎故郷と弟子
「初めまして、賢勇者君。私は《ジョコス・イオ・インゲイル》ーーインゲイル領次期領主にして、ヴェンタリリス・ヨナ・インゲイルの実兄だ。(略)」
『女装コス』から。
「見てよこれ賢勇者君! 照れちゃってんだよ! もうね、可愛さキューバの至宝級!」
「可愛さの引き合いになぜフレデリク・セペダ選手を出したんですか!?」
「では早速計画を練りましょう。計画名は『ビアンカフローラ』で」
「了解(デボラ)ッ!」
『ドラゴンクエスト5』においてしばしば話題に上がる、『ビアンカとフローラどちらと結婚するか問題』から。基本的に幼馴染のビアンカが圧倒的に優勢だが、ニンテンドーDS版においてデボラという第三勢力が登場し、争いはより混沌となった。
ちなみに私はフローラ派です。
「メスーキ王国のバイヤ王子だっけ? 結構な大国の王子が来るもんだ」
ヤバい、バイセクシュアルあたりからのネーミングか。また、口調が御坊茶魔っぽい。
シコルスキも何ら悪びれている様子がない。そもそも彼がインゲイルに来ていることすら知らなかったサヨナとユージンは、どういう表情をすればいいのかも分からない。
挿絵のサヨナとユージンは、いわゆる宇宙猫と言われる画像から。
「どちら様!?」
「三木 一馬さんです」
特別短編に引き続きケンカを売っていく。
「こだわりスカーフ型お兄様……!!」
『ポケットモンスター』より、ポケモンに持たせる道具から。最初に繰り出した技しか使えなくなる代わりに、素早さが1.5倍になる。
『ドラゴンクエスト5』において、くさった死体を仲間にした時のデフォルトネーム。ちなみに小説版ではその純真な心と漢らしい生き様で、大きな印象を残すキャラクターである。
(シリアス感が増したけどツッコミどころはあるからムズムズしてきたな……)
シリとかアスとかツッコミとかいう言葉に過剰反応してしまう。
「詳細は省きますが、身体の一部分の感度が3000倍になる薬です」
「界王拳でもそこまでの倍率は叩き出せねえぞ!!」
『ドラゴンボール』の孫悟空が使用する技から。フリーザ戦では20倍界王拳によるかめはめ波を繰り出したが、フリーザに有効なダメージを与えることはできなかった。
「頭が真っ白になって……」
「それだけ見て船場吉兆ネタって分かる読者がどれだけ居んだよ!! 古いわ!!」
高級料亭を展開していた会社、船場吉兆から。
賞味期限や産地の偽装、食べ残しを使いまわしていたことが発覚し、廃業した。記者会見に当たり、女将が彼女の長男に対して「頭が真っ白になってしまい」などと囁いて指示を出した声をマイクが拾ってしまい、炎上した。
どうやら今回もハマジャックの感度3000倍箇所は右乳首だったらしい。(略)ほぼイキ死んでいた。
2009年のWBC優勝インタビューにおけるイチロー選手のコメント「ほぼイキかけました」から。
レディがプチミレディに……!? あぁぁな恐ろしい呪いだ!!」
悠木碧と竹達彩奈による声優ユニット、『petit milady(プチミレディ)』から。また、あな恐ろしいと穴をかけている。
●エピローグ
「ま、まま、待ってください! お金は払いますけど、でもいつ払うかという約束はしてないですよね!? つまり、いつ払うのかは全部わたし次第だということ……!!」
「利根川は当時強者だったからその理屈を唱えられましたが、指定暴力行商団であるユージンくん相手では中々厳しいと思いますよ」
『賭博黙示録カイジ』に登場する利根川幸雄のセリフ「出す……! 出すが…! 今回まだその時と場所の指定まではしていない」に続く一連の流れから。
人間競馬で勝ち抜いた人に賞金を渡さず、それをエサにビルの間の鉄骨渡りに挑戦させた。
●おわりに
長い戦いだった。
記事を書いている途中でデータが吹っ飛んだり、分量が多いのでiPadの音声入力機能で記事を書いてみたら頭がおかしくなりそうになったり、前巻よりも質、量ともに遥かにスケールアップしたネタに溺れそうになったりした。
しかしそれだけ夢中になれる魅力がこの作品にはある。
あとがきで己の魂まで削ったと書いているが、さもありなん。ギャグ小説とかいう水星に入植するような行為をまともにやろうとしたら、燃え尽きてしまうのが当然だろう。
でもここまでのものを見せられてしまうと、もうちょっとだけ変態たちの狂宴を眺めていたいという気持ちがあるのもまた事実だったりする。
贅沢は言えないけれども。
とりあえずお疲れさまでした。