「魔法少女育成計画」4話感想
ルーラは概念。
原作ネタバレあり。
・アバン
早苗さんの優秀さを回想でアピールしていく。
高校時代は定期テストでいつも1位。大学卒業後は、かなり大きそうな会社でOLとして働いていた。
しかし、改善提案を部長に突っ返されるなど、会社では疎まれ者らしく、地方へ左遷されてしまう。「あれだけ部長に噛み付いてればねぇ」と言われていることから、何度となく自分の意見を提案していたらしい。新入社員がいきなり部長の下で働くというのは考えづらいので、おそらく、直上の上司をすっ飛ばしてダイレクトに部長へぶつかっていたのだろう。大抵の場合、好まれない行為だ。
辞令には『HKJホールディングス』とあるが、早苗さんが飛ばされたのは『株式会社遠浅商事』。本社勤務のエリートだったのが、グループ会社の営業所に左遷されてしまった早苗さんの心中はいかばかりだろうか。
しかし、『遠浅商事』という名前に笑ってしまう。原作者の名前から取っているだけなのに、すさまじいブラック臭である。
花見の場所取り中にむっつり顔でスマホゲーをやる早苗さんは割とシュール。
・そうちゃんを誘い出す双子
けっこうあっさり引っかかってしまうそうちゃん。
「かっこいいセリフキター」「そういうの一度言ってみたかったんでしょ」という挑発に、「そうだよ」と返すそうちゃんが男らしい。
あとサンライズ立ちも男らしい。
・襲われるスノーホワイト
マジカルフォンで助けを呼んだり、ファヴに連絡を取ろうかと考えているスノーホワイトがちょっと滑稽に見えてしまう。「間抜け。この期に及んでわからないの?」とルーラが言っているとおり、各人で現状の認識に大きな違いがあることが端的にわかるシーンである。
また、ルーラの魔法についてはここですべての弱点が明らかにされる。映像で見ると本当にクソみたいに隙だらけで、スノーホワイトのように、身体能力の高くない単独の魔法少女以外にはとても使えなさそうだ。カラミティ・メアリ相手に命令しようと思ったら、「ルーラの名の下に命じる」の「ルー」くらいで蜂の巣にされるだろう。
・たまの落とし穴を剣で回避するそうちゃん
剣を足場にジャンプし、即座に手元へ出現させて攻撃。出したり消したりが自由な設定が、存分に活かされている。
ちゃんと手加減して、剣の腹でミナエルを攻撃しているのが優しい。
奇襲が失敗したのだから不用意に顔を出すべきではないのだが、のんきに穴から出てくるところを踏み台にされるたまがかわいい。
・「あの馬鹿ども阿呆どもゴミカスども」
ルーラの台詞の中でも特に好き。
足止めが十分にできなかったのは3人の能力不足もあるだろうが、そうちゃんの戦闘力がかなり高かったためでもある。相手の戦闘力が不明な以上、ラ・ピュセルが速攻で足止めを振り切って向かって来た場合のことも考えておくべきだろう。
加えて、事前にマジカルキャンディの譲渡機能を何度かテストしておき、転送するのに必要な時間を把握しておくべきだった。描写がないだけで、ちゃんと行っていたのかもしれないが、スイムスイムにうるさく確認していたことを考えると、きっちり調べていたわけではなさそうだ。ただ、そうしておけばルーラチームの未来が大きく変わっていたかというと、そうでもなさそうなのが悲しい。
王者の憤怒
ルーラとたまの情報が開示。早苗さんの説明『エリートだが周囲を見下すため親しいものはいない』というバッサリ感が無情。
たまの方は、本名と魔法少女としての名前が同じことがわかる。しかし、『おばあちゃんが大好き』という一文に、なんだか制作側の性格の悪さが感じられるのは考えすぎだろうか。
・ルーラの回想
初っ端からメアリに屈辱を与えられたルーラ。ここからすでにミソがついてしまった。
そこからルーラの仲間手下探しが始まるのだが、最初から肉の壁にすることを前提にしている。双子に魔法を使っているのを見る限り、『強力な魔法を持っていること』を印象づけ、言うことを聞かせようとしたらしい。そのあたり、やっていることはメアリと同じようなものだ。
「御しやすい者を選んで配下に加えてきた」というが、そのぶん頭は悪いわ戦闘力は低いわでけっこう散々なメンバーである。ただ、こんな集まりでもちゃんと5人グループとしてやっていけていたのは、ルーラの実力といえる気はする。
・ルーラ脱落
天使のようなナチュラルクズの笑顔
ピーキーエンジェルズの鬼畜さが目立つが、スイムスイムが提案しなければ、ルーラを積極的に死なせようとまではしなかっただろう。
たまはキャンディを他の魔法少女に配布するまで、ルーラが脱落することを知らなかったが、知ったあともルーラを助けることはできなかった。もうほんのちょっとルーラに人望があって、たまに勇気があったら結果は違っていたのかもしれない。
早苗さんはアバンと同じスーツ姿。会社は辞めなかったのだろうか。単純に、服装に一貫性を持たせてわかりやすくしただけだとは思う。
ねむりんの時は12時まで猶予があったので、ルーラも12時まで何かしらのアクションがあるかと思ったが、特に描写はなかった。そのあたりは視聴者の想像次第ということだ。
ただ、ルーラの立っていた場所から大して動いていないので、脱落発表のほぼ直後に12時になったと考えられる。よりによって一番従順だったスイムスイムが主導して自分を陥れたなど、ちらとも想像できなかっただろう。
・スイムスイムはお姫様に憧れる
ねむりんが爆弾を残していたことが判明。まさかねむりんも、自分が会話した少女がこんなサイコパスだとは思わなかっただろう。
スイムスイムがルーラを殺した動機は、アニメでは説明しづらいだろうと思っていたので、ここまで丁寧に解説してくれるのはありがたい。「ルーラがいたらルーラになれない」という台詞のヤバそうな感じがとても素敵。
・「君だけは、本当の魔法少女として生きてほしいんだ」
ある意味で、本作の根幹にも触れるような台詞。魔法少女は、清く正しく美しくあるべきなのに、実際にはクズばっかりという現実。そうちゃんも、そういった現実に抗うためにスノーホワイトを守ろうと誓っている。
しかし口を開くたびにフラグが積み重なっているのも悲しい。
守りたい、けど守れなさそうな笑顔
・アリス参戦
夜の町をふらふら歩くアリス。病的な見た目も相まってちょっと怖い。
こんなんが夜道で突然現れたら、スノーホワイトもそりゃビビる。
目の下のクマがチャームポイント
●まとめ
かえすがえすも惜しい人を亡くした。とりあえず、スイムスイムという劇薬をチームに入れていなければ、こんなことにはならなかっただろうに。
スイムスイムの能力を考えれば、ルーラのパートナーとしてはほぼ理想的なだけに、運命の悪戯を呪うしかない。
『フレンドを増やそう!』という今回のサブタイトルは本当に皮肉である。ルーラが得ていたのは友達でも仲間でもなく単なる手下で、手下からすればルーラは疎ましいだけの存在、あるいは成り代わるべき対象だった。
人間関係というものが大切なことを、身をもって教えてくれたルーラの冥福を祈りたい。
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