【魔法少女育成計画】ルーラがリーダーになれないたったひとつの理由
アニメ4話までのネタバレを含みます。
まほいくでも屈指の愛されキャラ、ルーラはいったい何を間違えてあんなことになってしまったのだろうか。考察してみたい。
ルーラの基本背景:
人間形態の本名は木王早苗。一流大学を出、一流企業に勤めていたが、人間関係はよろしくなく、左遷されて地方に飛ばされたあとに魔法少女になった。
当初はこれで人生変えられると思っていたのだが、初っ端から教育係のメアリに辛酸を嘗めさせられ、いずれ彼女を屈服させることを誓って手下を集め、グループを作った。
それなりにリーダーシップを発揮してはいたようだが、結果として、スイムスイムに陥れられ、2番目の脱落者となってしまった。
総じて自尊心が強く、他者を見下しがちで、リーダーとしては不安が残る性格だ。そのため、ことあるごとにメンバーを罵り、偉そうな態度は特にピーキーエンジェルズに嫌われている。
たまのためにキャンディを稼げる仕事を探してきたり、チームのメンバーは脱落させないよう作戦を立案したり、いい人な面もあるのになんとも惜しい人材である。
結局のところ、ルーラに足りなかったものは、メンバーを尊重する姿勢だ。
「嫌なやつがいなくなった」「馬鹿だのアホだの悪口ばっか言ってるやつ」と双子も言っているように、こういった言葉は言われた方は忘れない。スイムスイムがルーラの教えをすべて覚えているように、ピーキーエンジェルズにとっても、自分たちへの罵声は心の底に澱として沈んでいた。
「馬鹿ばっかりだ」というのはルーラの性格を一言で説明する台詞だ。テストで満点を取ったり、就職後すぐに改善案を出したりと、なまじ本人が優秀なだけに、周囲を侮る姿勢を隠さない。魔法少女としての名前を『Ruler(支配者)』などとしているあたり、『優秀な自分が無能な周囲を引っ張っていくべき』という彼女の基本思想が伺える。
だが、それでは人はついてこない。『他人に関心を持ち、敬意を払う』ことが、人を動かす上では必要不可欠なのだ。
デール・カーネギーの「人を動かす」では、『人を変える九原則』として、以下の点が挙げられている。
1.まずほめる
2.遠回しに注意を与える
3.自分の過ちを話す
4.命令をしない
5.顔をつぶさない
6.わずかなことでもほめる
7.期待をかける
8.激励する
9.喜んで協力させる
見事なまでにこの反対をやってきたのが、ルーラという人物だ。
彼女にとってチームメンバーは肉の壁であり、愚鈍なお荷物だったが、組織のトップとしての自覚だけはあった。仲間を『配下』と呼び、軽視しながらも、全員でキャンディの争奪戦を生き延びようとしていた。
足りなかったのは、その『配下』にも感情と自尊心があるということを考慮できなかった点だ。
相手の顔を立てる! これは大切なことだ。しかも、その大切さを理解している人は果たして何人いるだろうか? 自分の気持ちを通すために、他人の感情を踏みにじっていく。相手の自尊心などはまったく考えない。人前もかまわず、使用人や子供を叱り飛ばす。もう少し考えて、一言二言思いやりのある言葉をかけ、相手の心情を理解してやれば、そのほうが、はるかにうまくいくだろうに!
-D・カーネギー「人を動かす 文庫版」より-
さらに、4話でやっていたように、『報酬を後から目減りさせる』というのもかなりマイナスである。
スノーホワイトから奪ったキャンディの配分は、ルーラが50%、スイムスイムが25%、たま、ミナエル、ユナエルがそれぞれ8%強ずつだ。
どうやら事前に取り分が決まっていたわけではなく、双子たちは当然5等分するものだと思っていたようだ。
それが、『与えられた仕事を満足にこなせなかった』という理由で、あからさまに不公平な配分を強要されている。これがまずい。
そもそも3人がかりでそうちゃんを足止めしきれなかったのは、彼我の戦闘力に差がありすぎたためで、双子やたまに非はない。むしろ『3人投入すれば十分』という判断をしたルーラのミスである。相手の魔法や戦闘力が不透明な以上、作戦がうまくいかない可能性は常に想定しておくべきだ。
加えて、そうちゃんが本気で殺す気だったら、ミナエルは今ごろ真っ二つになっている。それだけ危険な役割を担ったのに、報酬がルーラの1/5以下だという事実が、どんな影を落とすか。
『本人の故意ではなく、純粋なミス、依頼者による仕事の配分間違い』で報酬を減らすことは、基本的にあってはならない。そういった制裁的な行為は、失敗による損害の補填にはとうてい結びつかず、この先の仕事を阻害するだけである。
作中ではこのキャンディの配分を行った時点で、すでにルーラの脱落は確定していたのだが、このぶんだと今までにも同じようなことをやっていただろうと想像できる。
『寛大な心で接する』ということさえできれば、もっとマシな結末になっていたはずだと思うと、やはりいろいろと惜しい人物だったとしか言いようがない。
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