「誰が賢者を殺したか?」コミックス1巻の変更点について
半ば義務感に駆られて買ってしまった。
- 作者: 三雲ネリ,奈々本篠介
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2016/11/04
- メディア: コミック
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表紙には、バッテンを付けられたダーゲンハイムを含む、"一行"のアイコン。このデザインだと"一行"が順番に死んでいくようにしか見えないし、実際2巻の表紙は溝呂木くんが消されるだろうから、未読の人にはネタバレになってしまうだろうことは間違いない。
「進撃の巨人」でも似たようなことをやっていたが、あちらは裏表紙なので、うっかり目にすることは少ない。こちらは堂々と表紙で主張するというロックなやり方だ。しかし表紙を見て本を手に取った新規読者が、まさか現在に至るまで、この8人のうち3人しか登場していないとは思いもよらないだろう。
おまけ要素や作画についての加筆などはあまりなかったが、ノエルの口調がものすごく変更されていたのでまとめておきたい。
連載版のノエルは、「~だっぺ」などと、いかにもな田舎者口調を強調されていたが、単行本ではそれが大幅に抑えられている。
連載版
単行本
連載版
単行本
連載版
単行本
「~きゃっ」という語尾は津軽弁を参考にしているのだろうか。全体的に東北っぽい言葉なのは変わっていないが、語尾に「~だよ」「~なの?」などの表現が加わり、より柔らかい印象になった。
言葉がここまで変わると、連載版でのノエルの粗野な雰囲気まで薄れ、正統派美少女に見えてきてしまうから不思議である。
しかし困ったことに、あまりにがんばりすぎて別人といえるレベルで言葉遣いが変わっているので、この後に連載版を読んだ時の違和感が半端ではない。ヒロインとしての印象はどう見てもコミックス版の方がいいため、連載版の方も、さりげなくノエルの口調をそちらに合わせてしまった方がいい気がする。
実際問題、このまま『連載版ノエル』と『コミックス版ノエル』の口調を分けて話を進めていくと、どっちがどっちかごっちゃになってしまうだろうし、描く側も非常に大変だ。まったくメリットがない。
身も蓋もないことを言うが、どうして連載準備中にこの程度のことを煮詰めておかなかったのか。方言を使いこなせないなら、素直に標準語のキャラにしておけばよかったのに。
さて、単行本自体の話に戻るが、巻末におまけ4コマ漫画が1本掲載されている。
幕間のイラスト等もないので、新生ノエルを見られる以外には、ほぼ唯一の単行本特典だ。ファンの方は購入して確かめてみてほしい。1ページに2コマずつ贅沢に使用した4コマ漫画が読める。
どんな漫画本でもページは余るので、それを埋めるためにおまけがあるのだが、2ページを1本の4コマ漫画で埋めようとする暴挙斬新な心意気を評価したい。
- 作者: 真田信治
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/12/19
- メディア: 新書
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