1話が完璧なアニメ
ふと思いついたので。
『1話切り』や『3話切り』、果ては『0話切り』という言葉が氾濫する昨今、早い段階で視聴者にアピールするということは、アニメ作品にとっても重要なことだ。
人間の可処分時間は有限である。なら、少なくとも『現段階で面白い、面白くなりそう』という印象を持った作品を贔屓にすることは自然だろう。
1話目というのは放映のスタートであり、スケジュール的にもまだ余裕がある段階で作られているため、制作サイドとしても、力が入れやすいものである。
ということで、これまで視聴してきた、1話が完璧と言っていいほど面白い作品を順不同で挙げてみる。
なお、だいたいの作品はバンダイチャンネルで1話無料で見られるため、リンクも貼っておく。便利な時代である。
●きんいろモザイク 『不思議の国の』
原作ではほとんど紙面が割かれていない、忍がイギリスのアリスの家へホームステイするエピソードが、贅沢な尺を使って描かれる。
とにかく丁寧な作りで、恐ろしく精緻な『忍の憧れるイギリス』が、視聴者にわかりやすく提示される。
1本の映画を見るような気分にさせられるし、忍とアリスの絆がどのように生まれたか、この上ない説得力を持って理解させてくれる。
アリス役の田中真奈美の達者な英語も、異国情緒を出すことに貢献していた。
●あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない 『超平和バスターズ』
ザ・完璧。
主人公のじんたんが引きこもりになって、かつての幼なじみたちとギクシャクしていること。
昔死んだ女の子が、なぜか幽霊的な存在になって現れたこと。
各キャラクターの顔見せと、これからの波乱を予感させる展開。
それらすべてを過不足なく提示し、EDに至ってノスタルジーを全力で刺激してくる。
雰囲気の作り方が特に上手い。
●R.O.D -THE TV- 『紙は舞い降りた』
少し時代を遡り、ゼロ年代前半から。
ザ・完璧2。
30分にまとめているとは思えない濃密な展開とアクション。『紙を操る』という特殊能力を視覚的にわかりやすく明示し、同時に主人公の3姉妹のキャラを強烈に印象づけている。
ギャグとシリアスの緩急も上手く、センスよく最後まで惹きつけてくれる。
サブタイトルも格好よくて○。
●翠星のガルガンティア 『漂流者』
Aパートで主人公のレドの背景を説明し、Bパートに至って、レド視点で世界観の広がりを想像させる作りになっている。
とにかくワクワクさせるという意味で、完成度が高い。
●TIGER & BUNNY 『All's well that ends well(終わりよければすべてよし)』
『ヒーローがスポンサー付けてもらって、ポイント制でランキングを争っている』というこのアニメの主題を、わかりやすく示している1話。
コミカルでかつ熱く、興味を掻き立てられる。ヒーローのコスチュームに実在企業のロゴがプリントされているという時点で目を奪われるので、アイデアの勝利ともいえるだろう。